Research Press Release
【がん】がんの発生におけるウイルスの役割
Nature Communications
2013年10月2日
19種のがんの4,000点以上の腫瘍の分析が行われ、がんの発生におけるウイルスの役割の評価が行われた。今回の研究は、腫瘍形成におけるウイルスの役割を解明するための包括的なデータセットをもたらしている。
今回、Erik Larssonたちは、「がんゲノムアトラス」のデータを用いて、19種のがんサブタイプの4,438点の腫瘍においてウイルス核酸を検出し、178点の腫瘍からウイルスRNAが見つかった。そして、子宮頸がんにヒトパピローマウイルスの存在が確認され、肝細胞がん(肝がん)にB型肝炎ウイルスが確認された。これに対して、ウイルス原因説が提唱されていた乳がんと多形性膠芽腫(脳のがん)にはウイルスの存在が検出されなかった。今回用いられたデータには、膀胱、結腸、脳、腎臓、皮膚、卵巣、前立腺、甲状腺、直腸、肺など多様な腫瘍が含まれていた。今回の研究では、膀胱がんの7.3%、結腸がんの9.8%、頭頚部がんの14.8%、そして、直腸がんの5.6%にウイルスRNAの存在が確認され、これらの腫瘍の中でウイルスが何らかの役割を担っているものの割合が小さい可能性が示唆されている。
今回の研究は、腫瘍に含まれるウイルスの分析結果として最大規模のものをもたらし、この結果は、腫瘍形成においてウイルスが広範な役割を果たすという考え方を排除している。
doi:10.1038/ncomms3513
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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