【神経科学】実験状態と自然状態における脳の活動を記録する
Nature Communications
2013年10月16日
実験条件と自然条件の両方の条件下における特定のニューロン集団の活動の特徴を正確にとらえるための方法が開発された。これは、複雑な社会的環境におけるヒトの脳活動を突き止め、脳のシグナルから自然体験を再現するための1つの手段となる。これまでは、実験的手法で調べることしかできなかった。
脳の活動を記録する方法、例えば、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)は、ほとんどの場合に、自然環境の影響を大きく減らした実験的状況下で用いられる。したがって、絶えず変化する環境要因と現実の状況下で起こる社会的相互作用は、現実の状況下で変化する脳の活動を調べる際の大きな制約となっている。今回、Josef Parviziたちは、この問題を解決するため、あらかじめ電極を頭蓋内に移植した3人のてんかん患者について、計算問題を解いているときと数を話題にした社交上の会話を行っているときの神経活動の記録をとった。その結果、実験的状況下で計算問題を解いているときに最も強く、最も選択的な応答を示し電極は、現実の状況下では、最も疎で選択的な活性化パターンを示した。つまり、Parviziたちは、明示的な思考過程だけでなく、黙示的な思考過程についての神経基盤も同定したのだった。
Parviziたちは、電極によって記録された応答がこの法則に常に従っていたわけではないことを認めているが、今回の研究が、これ以上に複雑な脳の活動を評価するためのもっと高度で侵襲性の低い方法の開発に役立ってほしいと考えている。
doi:10.1038/ncomms3528
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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