【古生物学】大量絶滅を生き延びた古生代のサメ
Nature Communications
2013年10月30日
cladodontomorphサメは、二畳紀末期の大量絶滅によって死に絶えたと考えられていたが、このほど、フランス南部で発見された古代のcladodontomorphサメの化石によって、このサメが、この大量絶滅を生き延びていたことが示唆されている。二畳紀末期の大量絶滅では、海洋生物種の90%以上と陸上脊椎動物の約70%が死滅したと考えられているが、このほど行われた研究で、cladodontomorphサメが深海域に移動していて大量絶滅事象を生き延びた可能性が示唆されている。
今から3億5000万年前に大きな生物学的転換が起こり、二畳紀と三畳紀という地質年代の境目になった。この転換は、いくつかの魚分類群、特に軟骨魚類の大量絶滅と現生サメ類の定着をもたらした。今回、Guillaume Guinotたちは、フランス南部の深海底の1億4000万年~1億3300万年前の地層から、いくつかの歯の化石を含むcladodontomorphサメの化石群を発見した。このサメは、二畳紀と三畳紀の境界期に姿を消したと考えられていたが、今回の発見によって、このサメ類の化石記録が約1億2000万年も先まで伸びた。Guinotたちは、このサメが二畳紀末期の大量絶滅を生き延びたことが、この新たな化石によって明らかになったと考えている。
また、Guinotたちは、二畳紀と三畳紀の移行期に破滅的な大量絶滅が起こったとき、cladodontomorphが深海域へ逃避して生き残ったという仮説を提唱しており、深海域で発見される化石には、古代の魚類の進化史に関する貴重な情報が含まれていることが今回得られた知見によって示されたと考えている。
doi:10.1038/ncomms3669
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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