Research Press Release

【神経科学】幹細胞を用いた多発性硬化症治療法の解明に進展

Nature Communications

2013年10月30日

多発性硬化症のマウスモデルを用いた研究が行われ、移植された神経前駆細胞から分泌される分子が、多発性硬化症の治療の成功にとって非常に重要なことが明らかになった。今回の研究で、誘導多能性幹細胞に由来する細胞を用いた細胞治療の背後にある諸機構の解明が進んだ。

炎症性脱髄疾患(例えば、多発性硬化症)の原因は、炎症とその結果として生じる髄鞘(ニューロンの軸索の保護膜)の損傷だ。今回、Gianvito Martinoたちは、誘導多能性幹細胞からマウスの神経前駆細胞を作製して、多発性硬化症を発症した多発性硬化症マウスモデルの中枢神経系に移植した。その結果、移植された細胞が、炎症によって髄鞘の損傷部位に引き寄せられ、神経保護分子の一種である白血病阻害因子(LIF)を分泌するように指示されることが判明した。分泌されたLIFは、髄鞘の再形成と細胞の生存を促進し、それにより、マウスの病理的症状と臨床症状が軽減された。

doi:10.1038/ncomms3597

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度