Research Press Release

【ナノテクノロジー】形状記憶効果を示す酸化物

Nature Communications

2013年11月20日

ナノスケールでの形状記憶効果を示す酸化物材料について発表する論文が、今週掲載される。この酸化物材料(ビスマスフェライト)は、損傷を受けずに、並外れて大きなひずみを保持でき、従来の形状記憶材料よりも優れた性能を示している。ビスマスフェライトは、容易にマイクロエレクトロニクス機器に組み込むことができるため、この材料の応用に新たな興味深い展望が開かれている。

ビスマスフェライトは、その特性ゆえに、さまざまな電子機器に用いる有望な材料候補となっている。今回、Jinxing Zhangたちは、ビスマスフェライトの新たな興味深い特性を発見した。ナノスケールでの形状記憶効果だ。低温で変形しても、その後の加熱あるいは電場による刺激によって元の形状に戻るのだ。これまで形状記憶用途(例えば、血管手術に用いる血管拡張ステント)には、ニッケル合金が用いられていたが、ニッケル合金には、特にナノスケールでの表面効果など、いくつかの問題があった。今回の研究では、ビスマスフェライトが、特にその抜群の性能から、ニッケル合金の代替材として優れていることが明らかになった。通常、この性能は、材料が変形された際に永続的な損傷を受けずにひずみを保持する能力として計測される。Zhangたちは、ビスマスフェライトの復元可能な最大ひずみが14%に達することを明らかにした。

doi:10.1038/ncomms3768

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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