【海洋科学】プラスチック破片由来の化学物質がメダカの健康に及ぼす影響
Scientific Reports
2013年11月21日
ポリエチレンと海洋環境から吸収された化学汚染物質の混合物にさらされた魚は、これらの汚染物質を体内に蓄積し、その結果として肝毒性に苦しむ場合のあることが明らかになった。この結果を報告する論文が、今週掲載される。
プラスチックの小片は、海洋環境のいたるところに存在し、その大部分が非常に小さい(1ミリメートル未満)ため、広範囲の生物種によって摂取されている可能性がある。しかし、魚類と海洋無脊椎動物がプラスチックと蓄積性汚染物質の複雑な混合物を摂取することに関連した健康影響可能性については解明されていない。
今回、Chelsea Rochmanたちは、現実の環境で考えられる濃度の低密度ポリエチレンプラスチックに対する慢性的な食餌曝露が、一般的なモデル魚種の1つであるメダカ(Oryzias latipes)に及ぼす影響について調べた。その結果、メダカによるポリエチレンの摂取が有害可能性物質の体内蓄積の一因となっている可能性があり、汚染物質にさらされたメダカの肝臓に悪影響が出る傾向のあることが明らかになった。この毒性は、吸収された汚染物質とプラスチック材料の両方の結果だと考えられている。メダカには肝ストレスの徴候が見られ、未使用(成形前)プラスチックよりも海洋(都市部の湾内)で処理されたプラスチックに曝露されたメダカの方が重症だった。
以上の研究結果から、化学物質の生体蓄積と魚類のプラスチック摂取に関連して生じる可能性のある健康影響に関する基本的情報がもたらされた。Rochmanたちは、今後、ほかの海洋生物種に対するプラスチックの影響を調べて、海洋生物に対する健康影響が最も大きいと考えられる材料の種類と化学汚染物質の組成と濃度を調べるための研究が必要なことを指摘している。
doi:10.1038/srep03263
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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