遺伝:アシュケナージ系レビ族の起源は中東
Nature Communications
2013年12月18日
このほどユダヤ人のY染色体全体の高カバー率の塩基配列解読が行われ、アシュケナージ系レビ族の起源が中東であった可能性が示唆されている。今回の研究では、アシュケナージ系レビ族の進化史が再現され、この集団の地理的起源に関する網羅的解析が行われた。その詳細を報告する論文が掲載される。
アシュケナージ系レビ族は、父性遺伝のユダヤ人聖職者階級だが、その起源については議論が続いている。これまでの研究では、Y染色体上の遺伝的領域R1aにアシュケナージの系統が明確に示されていることが報告されていた。しかし、この遺伝的領域に関する集団ベースの遺伝的解析では、アシュケナージ系レビ族の起源地に関する矛盾した結果がもたらされていた。
今回、Doron Beharたちは、ユダヤ人8人と非ユダヤ人5人のY染色体の塩基配列解読を行い、R1a内に新たな遺伝的マーカーを同定した。次いで、ヨーロッパ、北アフリカ、そして、アジアとシベリア南部の異なる地域のさまざまな集団に含まれるユダヤ人と非ユダヤ人からなる2,834人について、この遺伝的マーカーを調べた。
そして、Beharたちは、これらの人々の進化的類縁関係について解析し、この遺伝的マーカーの起源が中東にあり、アシュケナージ系レビ族の起源を東欧とする学説を否定した。Beharたちは、ユダヤ人移民が、このマーカーをヨーロッパに持ちこみ、その後のヨーロッパでの分散の際にアシュケナージ系レビ族の間に広がったとする仮説を提示している。今回の研究では、遺伝学研究によって、系統関係を精緻化し、集団間の遺伝子流動を追跡できることが実証された。
doi:10.1038/ncomms3928
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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