【行動】求愛中に体を震わせて身を守る雄グモ
Scientific Reports
2013年12月19日
コガネグモ属の雄は、求愛のために雌グモの巣に入るとき、生きた獲物と間違えられて攻撃される危険を冒している。このとき、雄グモは、体を震わせて、クモの巣を振動させるのだが、この求愛振動によって、雌グモが捕食行動を起こすタイミングが遅れることが判明した。この新知見を報告する論文が、今週掲載される。
コガネグモ属の雄は、雌のクモの巣に入るとき、独特な求愛振動(身震い)を起こす。雄グモは、クモの巣を数回素早く揺さぶることで身震いをして、独特な振動パターンを作り出す。そして、雄がクモの巣を横断して、巣の中心にいる雌と接触を図るという求愛行動における最初期の最もリスクの高い時期に身震いが集中する傾向がある。この振動は、交尾前の共食いのリスクを低下させるが、その基盤となるシグナルについては解明が進んでいなかった。
今回、Anne WignallとMarie Herbersteinは、雄グモの身震いで、生きた獲物がいるときの雌グモの捕食行動が遅くなるのかどうかを検証した。実験では、生きたコオロギを見せておいて、身震いによる振動やホワイトノイズを体験させた雌グモと振動を体験させなかった対照群に分けて、そのときのコオロギに対する応答を比較した。その結果、身震いによる振動を感じている雌グモは、コオロギに対する応答がかなり遅くなることがわかった。また、コガネグモの近縁種を用いた実験でも、この振動によって、雌グモの捕食行動が遅くなった。この結果は、この振動の機能が、種の識別だけでないことを明らかにしている。
今回の研究結果は、雄グモが作り出す最初の求愛シグナルである求愛振動が種特異的で、これによって雄グモが同種であることを「証明」する機能を持つとする学説に異議を唱えている。むしろ、求愛振動は一般的なものであり、その主たる役割は、雌グモの攻撃性を抑制することだと考えられる。
doi:10.1038/srep03557
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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