Research Press Release
アルツハイマー病で冒されやすい脳領域
Nature Neuroscience
2013年12月23日
認知症に見られる異常タンパク質に冒されやすい脳領域が、マウスと患者で同定されたとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。
加齢には精神機能の減退が伴い、これはしばしば悪化してアルツハイマー病のような認知症に至る。アルツハイマー病患者の脳ではアミロイドとタウタンパク質の異常が見られ、内側側頭葉領域にこれらタンパク質が蓄積すると記憶機能に障害が生じ、一連の言葉を記憶しておけなくなったりする。
Scott Small、Karen Duffたちは、患者の脳画像とマウスモデルを用い、内側側頭葉内の外側嗅内皮質という領域が認知症に至る過程で特に冒されやすいことを示した。また、後日アルツハイマー病と診断される人ではこれら脳領域での代謝活動が減衰しており、このことは記憶機能の減退に関係していることを見いだした。異常なタウタンパク質とヒトアミロイドタンパク質をこの領域に発現させたマウス変異体は、外側嗅内皮質での代謝活動の減衰を同じく示し、これは加齢とともに悪化した。
これらの研究結果は外側嗅内皮質が認知症において特別に冒されやすい解剖学的中枢であること、またアルツハイマー病に関わる脳の機能不全はとりわけこの中枢から広がる可能性があることを示唆している。
doi:10.1038/nn.3606
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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