Research Press Release
一細胞のRNAをとらえる
Nature Methods
2014年1月13日
生きている組織の中の一細胞のRNAを物理的に分離する非侵襲的な方法が、今週のオンライン版の論文の中でマウスおよびヒトの細胞を用いて示される。その知見は、健常細胞および病変細胞の遺伝子発現に組織の微環境が与える影響に関して、理解の深化を可能とするものである。
組織は、さまざまな種類の細胞からなる複雑な構造体である。個々の細胞の種類と機能は、その遺伝子発現プロファイル、すなわちどの遺伝子が転写されてRNAを生じているかと密接に関係している。本来の環境にある一細胞の遺伝子発現を研究するには、組織を個々の細胞に分解する必要のない方法が求められる。
James Eberwineたちは、細胞を本来の組織環境に留めたままで目的の一細胞からRNAを分離する非侵襲的な方法を紹介している。研究チームは、細胞内に輸送され光で活性化されて初めて活性を示す化学的標識を利用した。活性化すると、その標識は細胞内のmRNAと結合するため、その細胞が持つ全RNAのセットを物理的に分離するのに利用することができる。標識は光で活性化されるため、原理的には生きている組織の中の全細胞を対象とすることができる。研究チームはこの方法により、培地中、ならびにマウスおよびヒトの生きている脳組織中に存在する単一ニューロンの遺伝子発現プロファイルを明らかにしている。
doi:10.1038/nmeth.2804
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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