Research Press Release

4400万年前に年間を通じて存在した北極海の海氷

Nature Geoscience

2014年1月27日

暁新世-始新世温度極大期として知られる極度に温暖な時期からわずか200万年~300万年後の、全球の温度が現在よりも高かったときに海氷は北極の夏季でも存在し続けていた。

今週のオンライン版に発表された研究によると、一年を通じて海氷が覆っていた期間は約3670万年前までは短く、夏季に氷がない状態から一年を通じて海氷がある状態への変化(およびその逆)には、これまで考えられていたよりも小さい温度変化で十分だったことが示唆されている。

地球化学的分析を用いて、Dennis Darbyは北極海中央部の堆積物コアで見つかった、非常に粗いので海氷により輸送されてきたに違いないと思われる、古代の堆積層の鉄粒子がどこから来たかを決定した。彼は、粒子が供給された大陸棚上の地域から最終的な堆積地点までの輸送時間を再現した。もし海氷により運ばれる粒子の輸送に1年以上かかるならば、海氷は北極の夏季でも存在していたに違いないと彼は論じている。記録の最も古い部分では、遠くの供給源からの粒子は粉々に飛び散っており、一年を通じて存在した海氷は短命であったことを示唆している。

関連するNews & Viewsの記事で、Catherine Stickleyは「永続的な海氷と季節的な海氷との間の変化を調べることは、将来の夏季に北極から氷がなくなったときに何が予想されるかを理解することに役立つ可能性がある」と書いている。

doi:10.1038/ngeo2068

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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