【地質学】「中国のポンペイ」の形成過程
Nature Communications
2014年2月5日
中国北部の義県累層と九仏堂層で、保存状態の極めて良い恐竜類と哺乳類、初期鳥類の化石が発掘されているが、こうした奇妙な併存状態は、これらの動物が火山流に襲われた結果だとする見解を示す論文が掲載される。今回の研究で得られた知見は、中国北部の熱河生物相(およそ1億3000万~1億2000万年前の古代生態系)の保存史の謎を解明する上で役立つ。
その当時、湖と針葉樹林が火山に取り囲まれる地形に、恐竜類と哺乳類、初期鳥類、トカゲ類が共存していた。それが今では「共同墓地」と化し、これらの動物が保存状態の極めて良い化石となって発見されている。こうした動物の大量死の原因とその遺骸の保存史は、謎だった。
今回、Baoyu Jiangたちは、いくつかの重要な地層で化石鳥類と化石恐竜類の試料を収集し、それらの試料と試料が保存されていた堆積物を分析した。その結果、それぞれの骨格化石が火砕流に直接埋め込まれていたことが判明した。火砕流とは、一部の爆発的火山噴火に伴って生じる高温のガスと岩石の流れで、流速が極めて大きい。動物化石は、特徴的な埋没姿勢をとっており、炭化の証拠も見られ、イタリア・ポンペイでの火山噴火の犠牲者に見られる特徴に似ていた。この新知見は、火砕流から大量死、埋没、輸送、そして、最終的な熱河生物相の保存に至ったことを示唆している。
火砕流は、いつの時代にも起こっており、生物を死滅させる原因となってきた。Jiangたちは、今回の研究で得られた知見をもとに、火山灰堆積層と密接に関連した他の化石群の保存の原因も火砕流である可能性を示している。
doi:10.1038/ncomms4151
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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