【医学研究】アフリカでの年齢別マラリア負荷の変化に関するモデル
Nature Communications
2014年2月12日
サハラ以南のアフリカの各地域におけるマラリアの年齢別パターンを、異なる流行強度との関係で把握できる数理モデルについて報告する論文が、今週掲載される。このモデルによって得られたデータは、マラリアのリスクが最も高い集団に関する推定を向上させる上で役立ち、特定の年齢層を標的とした疾病管理に役立つ情報をもたらす可能性がある。
今回、Jamie Griffinたちは、マラリア伝播モデルをアフリカ全土での熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の保有率とマラリア発症率のデータに当てはめることで、サハラ以南のアフリカでの年齢別のマラリア負荷を推定した。その結果、流行強度の高い地域で乳幼児の発症率が最も高く、流行強度の低い地域で年齢の高い子どもと成人の発症例が多くなることが分かった。その原因は、自然免疫を獲得するために長い時間がかかることである可能性が高いとされる。このことは、特定の年齢層を標的とした政策の精緻化がますます必要となることを意味している。
近年、アフリカの多くの地域では、これまでよりも効率の高い治療法と予防策の導入によって、マラリアを原因とする全体的な疾病負荷が低下した。今回の研究では、このことが、マラリア流行強度の低い地域でのマラリア発症者の年齢上昇と相関していることが明らかになった。このように、年齢別のマラリア負荷の変化を追跡調査することは、マラリア防除対策を感染パターンの変化に適切に対応させる上で重要といえる。
doi:10.1038/ncomms4136
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