【行動】オランウータンが樹上から降りてきた理由
Scientific Reports
2014年2月14日
ボルネオ島(インドネシア)の熱帯雨林に生息するオランウータンは、過去の逸話的観察で示されていたよりも頻繁に樹上の生息場所から地上に降りている可能性が明らかになった。このほど掲載される論文に、あらゆる年齢層のオランウータンの雄と雌が地上を移動していることを示す証拠が示されたのだ。今回の研究は、生息地の大幅な変化に対するオランウータンの回復力がこれまで考えられていたよりも大きいことを示唆している。
ボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)は、世界で最も大型の樹上性哺乳類だ。その陸上での行動を示す記録は非常に少なく、生息地の撹乱と関連している傾向がある。今回、Marc Ancrenazたちは、ボルネオ島の16地点で得られた包括的なカメラトラップデータを用いて、オランウータンの陸上行動に関する大規模解析を行い、オランウータンが樹上から降りて陸上を移動する程度とこの行動が人為的撹乱の影響を受けているのかどうかの評価を試みた。
このデータには、全ての年齢層と性別のオランウータンの地上での行動が記録されており、地上に降りる頻度が最も高かったのは、体が大きくフランジのある雄(独特の頬だこ、喉袋、長い体毛を持つ)だった。また、オランウータンの陸上活動は、劣化の激しい生息地だけでなく、原生林でも記録された。このことは、その陸上活動が人為起源の林冠破壊に影響を受けている可能性があるものの、それが陸上活動の唯一の駆動要因ではないことを示唆している。今回の研究によって得られた知見は、ボルネオオランウータンの自然な行動レパートリーにおいて、陸上での移動運動が予想以上に大きな役割を果たしている可能性を示している。
doi:10.1038/srep04024
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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