【古生物学】中新世前期の類人猿は熱帯林で進化した
Nature Communications
2014年2月19日
類人猿とヒトの系統の起源に関係があるとされるProconsul(初期類人猿の一属)が、樹木が密生した熱帯林に生息していたことが明らかになった。Proconsulの生息地が、開放地を含めて、さまざまな場所にわたっていた可能性が、これまでに発表された証拠で示唆されていたが、今回の研究は、Proconsulの一部が、樹木が密生した閉鎖林冠森林に間違いなく生息していたことを確認する上で役立つ。この新知見は、ヒトの遠い祖先の初期進化における樹上環境の重要性を示している。その詳細を報告する論文が、今週掲載される。
ヒト上科は、2800~1800万年前の漸新世後期と中新世前期にアフリカ・アラビア地域で出現し、多様化した。Proconsulの生息環境に関する知識は、初期人類を出現させた選択圧の理解に役立つ可能性がある。しかし、保存状態の良好なヒト上科の化石と独自の古環境学的指標が共存する例が非常に少なく、個々の種を特定の生息地と直接関連づけることが難しかった。
今回、Lauren Michelたちは、ルシンガ島(ケニア)で発見された中新世前期の環境指標(例えば、化石植物や化石土壌)とProconsulの化石の解析を行った。ルシンガ島は、中新世前期に由来する古生物学的情報の重要な情報源となっている。Michelたちは、この化石には、密集した根株と保存状態の良好な葉が含まれており、その大半が常緑樹の葉であることを報告している。この古生物学的データからは、年間平均気温が摂氏22.6~34.5度の範囲内にあり、降水量も比較的多かったことが示唆されている。以上をまとめると、今回示された証拠は、Proconsulが赤道アフリカの高温、湿潤な季節的気候の熱帯密林に生息していたことを示唆している。
今回の研究は、Proconsulが閉鎖林冠森林に生息していたとする仮説を裏付けており、Proconsulが開放条件下と閉鎖条件下での生息にすでに適応していたことも明確に示している。
doi:10.1038/ncomms4236
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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