【動物学】動物のひれと翅や翼による推進を支配する普遍法則
Nature Communications
2014年2月19日
遊泳や飛翔のできる動物は、どのような種であろうと、どのような運動様式を用いる場合であっても、普遍的な共通のパターンに従って、ひれと翅や翼を曲げていることが明らかになった。今回の研究では、飛翔中のオオカバマダラの翅が定常運動する際に、例えば、遊泳中のハンドウイルカの尾びれと比例的に類似した位置と最大角で翅が屈曲することが偶然でないことが示唆された。この結果を報告する論文が、このたび掲載される。
動物がひれと翅や翼を曲げるやり方は、運動の効率性に寄与していると考えられており、そのやり方を人工的に再現できれば、理論的には、動物界以外で遊泳と飛翔の能力を向上できるという考え方が示されていた。しかし、動物の運動パターンを人工デバイスで再現することで、運動の効率を現実に高められるのかどうかは、明確になっていない。その主な原因は、曲げパターンに関して意見の一致が得られていないことにある。
今回、Kelsey Lucas、Jack Costelloたちは、飛翔中の動物や遊泳中の動物の動画像列の解析を行って、運動中にひれと翅や翼を曲げるやり方に共通のパターンがあるのかどうかを調べた。その結果、ひれと翅や翼の屈曲は、普遍的に、非常に限られた屈曲率と屈曲角度の範囲内で起こっており、動物の大きさと流体媒質(空気か水か)、動物の種類は、屈曲パターンにさほど影響を及ぼさないことが明らかになった。Lucas、Costelloたちは、屈曲率と屈曲角度が、それぞれの種で進化を通じて独自に選択された可能性の非常に高い変数だが、その結果として最終的に選ばれた屈曲率と屈曲角度は動物界全体を通じて類似していると考えている。
今回の研究結果は、フレキシブルな機械デバイスを解明し、設計するための新たな枠組みをもたらした。
doi:10.1038/ncomms4293
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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