Research Press Release

漁業に対する気候変動の影響

Nature Climate Change

2014年2月24日

世界の水産業生産量が3.4%増加すれば、2050年の食用魚の予測需要を満たす上で役立つ可能性のあることが明らかになった。今回の研究では、今後の魚類生産量に地域差が生じ、高緯度域で増加する反面で低緯度域から中緯度域で減少する可能性のあることが予想されている。ただし、こうした変化は、現在の漁獲高の10%以内と予想されている。この結果を報告する論文が、オンライン版に掲載される。

今回、Manuel Barangeたちは、気候変動が漁業に及ぼす生態学的影響を推測するために、世界の排他的経済水域67か所(全世界の漁獲高の約60%に相当する)に物理学的モデルと生物学的モデルを適用した。そして、この結果が社会に及ぼす影響を調べるために、各国の漁業に対する依存度と人口増加による世界の需要予測の評価が行われた。その結果、アフリカ西部の漁業に依存する諸国が気候変動の恩恵を受けると予測される一方で、南アジア、東南アジア、アフリカ南西部、ペルー、それに熱帯の小島嶼国の一部が悪影響を受ける可能性があるとされる。

2050年の世界での食用魚の予測需要に対応できるかどうかは、持続可能な漁獲のための戦略の実行、養殖技術(例えば、餌に用いる天然魚類を減らす技術)の開発継続、そして、天然魚類製品の余剰のある国から不足している国への効果的な流通にかかっている、とBarangeたちは強調している。

doi:10.1038/nclimate2119

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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