Research Press Release
【がん】がん治療に細胞のエネルギーを利用する
Nature Communications
2014年3月12日
腫瘍部位で薬剤を放出する引き金として、がん細胞内部の「エネルギー分子」を使用する薬剤担体が、マウスにおいてがん治療に成功したことを報告する論文が今週掲載される。これらの知見は、がん治療の別の戦略になるかもしれない。
ナノ粒子は薬剤を腫瘍に送達できるが、腫瘍細胞を選択的に標的とするためには改善が必要である。がん細胞では、代謝のエネルギーとなるATPレベルが高いことが多く、これを治療に利用できる可能性があった。Zhen Guたちは、細胞内の高いATPレベルが、化学療法薬ドキソルビシン放出の引き金となるナノ粒子担体について説明する。ATPが存在する場合に、この担体は変形することで、ドキソルビシンの放出を引き起こす。このアプローチが、培養細胞およびマウスにおいて、ドキソルビシン誘発性のがん細胞死を増強することが分かった。これらの知見は、がん細胞へ化学療法薬を送達する新しい戦略となるかもしれない。
doi:10.1038/ncomms4364
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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