Research Press Release
森林における炭素量の増減と栄養素
Nature Climate Change
2014年4月7日
森林生態系の炭素量の全体的な増減が決まる際に、栄養素の利用可能性が極めて重要な役割を果たしていると結論づけた研究論文が、今週のオンライン版に掲載される。この新知見は、気候変動に対する炭素循環の応答を推定するために用いられるモデルの大部分における基本前提に、疑問を投げかけている。
今回、Marcos Fernandez-Martinezたちは、さまざまな気候帯に位置する92か所の森林で得られた知見を統合して、貧栄養地域の森林では、富栄養状態の森林と比べて、総エネルギー量と植物の光合成による炭素量に占める利用・再放出量の割合がかなり大きいことを明らかにした。つまり、貧栄養状態の森林は、富栄養状態の森林と比べて、炭素の利用効率が低くなっているのだ。
気候変動に対する炭素循環の応答のシミュレーションに用いられる炭素循環-気候変動結合モデルのほとんどは、1つの生態系の光合成に伴う炭素の吸収がその生態系の炭素貯蔵庫に支配的影響を及ぼすという前提に基づいている。今回の研究で得られた知見は、生態系内に固定された炭素の利用効率も考慮に入れるべきことを示唆している。
doi:10.1038/nclimate2177
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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