Research Press Release
【医学研究】健康補助食品に含まれるあの物質でマウスの寿命が延びた
Nature Communications
2014年4月9日
関節炎の患者のための健康補助食品として広く用いられている物質が、線虫と老齢のマウスの寿命を延ばすことが明らかになった。糖関連化合物であるD-グルコサミンは、ヒトが摂取しても安全だと考えられており、処方なしに入手できる。このD-グルコサミンが、低炭水化物食の分子レベルの効果を模倣して、寿命の延長を実現したのだ。この結果を報告する論文が掲載される。
生物の寿命を延ばす化学物質は大いに求められている。しかし、マウスの寿命を延長する効果に再現性のある物質の数はそれほど多くなく、ヒトが安心して使用できると一般に考えられている物質は非常に少ない。今回、Michael Ristowたちは、アミノ糖の一種であるD-グルコサミンを約2年齢の比較的「老齢」のマウスに投与する実験を行い、雌雄ともに寿命が延びたことを報告している。また、Ristowたちは、線虫を用いて、この寿命延長効果の機構的基盤を調べ、D-グルコサミンがグルコース代謝を低下させ、アミノ酸の代謝回転を増加させることを明らかにした。
ヒトは、D-グルコサミンを長い間使用してきており、高用量の摂取でも一般に安全だと考えられていることから、Ristowたちは、D-グルコサミンが、ヒトの健康寿命あるいは寿命を延ばす介入方法として手軽に利用できるようになる可能性があると考えている。
doi:10.1038/ncomms4563
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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