古代火星の薄い空気
Nature Geoscience
2014年4月14日
古代火星の大気圧は、河川が流れていた時には氷点以上に惑星の表面を温めるには十分ではなかった可能性があるとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。この発見は、古代の火星は温室効果ガスを豊富に含む密度の高い大気を持っていたので、火星の表面に液体の水が存在できたとする一般的な説明に疑問を投げかけている。
Edwin Kiteたちは、約36億年前の年代を持つ火星のゲールクレーターの近傍で河川堆積物の中に埋もれた小さなクレーターを見つけた。どのようなサイズの隕石が、ばらばらにならずに火星の大気を通過して生き残りクレーターを形成するかは、貫通する空気の密度に依存する。従って、河川堆積物中の最小クレーターの大きさが、河川が流れていた頃の火星大気圧について情報を与える。Kiteたちは、クレーターの大きさを広い範囲の大気圧にわたり数値シミュレーションと比較し、36億年前の火星大気圧は今日のものよりもはるかに高いことを示した。
しかしながら、見積もられた大気圧は表面を氷点以上に暖めるために必要な値よりも小さい。その代わりに、火山噴火、小惑星の衝突あるいは惑星の軌道変化等による短命の表面加熱により、一時的に火星の表面に液体の水が存在し得た可能性がある。
関連するNews & Viewsの記事で、Sanjoy Somは、「古代火星の表面に安定して長期にわたり液体の水が存在することは、惑星の歴史の初期に生命が存在したかどうかを考える上で重要な要因となる可能性がある」と述べている。
doi:10.1038/ngeo2137
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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