【ナノテクノロジー】溶液中にグラフェンを浸して電気を発生させる
Nature Communications
2014年5月7日
グラフェンのシートを一般的なイオン溶液中に浸すという単純なやり方で電気を発生させる方法について報告する論文が、今週掲載される。この電気エネルギーの回収方法は、費用効果の高い自己給電式センサーの設計に組み込むことが可能とされる。グラフェンを用いたシステムによる発電は、これまで何度も試みられてきたが、納得のいく相当な量の電気が得られるのかどうかは確認されていない。今回、Wanlin Guoたちが行った研究は、今までとは異なる方法が用いられた。つまり、これまでの研究では、グラフェンやその他の炭素を用いた材料が流動する溶液中に完全に浸されていたのに対して、Guoたちはグラフェンシートをイオン溶液(例えば、塩化ナトリウム)の表面を通過させる方法をとった。その結果、小型定規の大きさ(2 x 10 cm2)にほぼ匹敵するグラフェン断片を使って、約10マイクロアンペアの電力が生成できることが明らかになった。これは、比較的少ない発電量だが、カエルの坐骨神経を刺激するために十分な電力だった。そして、発電量がグラフェンシートの大きさと浸漬速度と比例しているという重要な発見があった。このことは、この発電デバイスがスケーラビリティーを有している可能性を示唆している。
さらに、Guoたちは、この実験において電気を発生させる上で、グラフェンを溶液に浸す際に気体-液体界面を維持する点が重要だと説明している。この気体-液体界面の移動によって、グラフェン中で電荷移動(これをGuoたちは“waving potential”と命名した)が誘導され、電気が発生するのだ。
doi:10.1038/ncomms4582
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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