Research Press Release
【心臓病学】規則的に運動をする人の心拍数が少ない理由
Nature Communications
2014年5月14日
このほど行われた齧歯類の研究で、一流の運動選手の安静時脈拍数が少ない原因が心臓における分子変化である可能性が明らかになった。このように心臓が持久的訓練に対して特異的な適応をする原因は、自律神経系の活動が高まることだと広く考えられていたが、今回の研究で得られた知見によって覆された。この結果について報告する論文が、今週掲載される。
成人の正常な脈拍数は、1分間に60~100だが、持久性を要する運動種目の選手の心拍数は、1分間にわずか30(睡眠時はもっと少ない)であることが知られている。今回、Mark Boyettたちは、ラットに運動訓練を行ったところ、洞結節(心臓の鼓動を生じさせる心臓構造)に存在するイオンチャネルの発現が変化した。そして、この変化と少ない安静時心拍数は、自律神経系からの刺激がなくても持続した。これまで、規則的に運動する場合に、自律神経系が洞結節における心臓の鼓動の発生を抑制すると考えられていた。
Boyettたちは、心臓の鼓動の異常だけでなく意識喪失までもが運動選手に多く見られる現象を解明する上で、こうした洞結節における分子変化が役立つ可能性があると考えている。
doi:10.1038/ncomms4775
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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