Research Press Release
シグナルの統合
Nature Structural & Molecular Biology
2010年5月24日
細胞の示す環境に対する協調した応答はどうやって生じるのか。Nature Structural & Molecular Biology(電子版)では、この仕組みについて、一連の総説記事で論じている。特集で検討されているのは、シグナル伝達に協調して応答する細胞機構と、これら経路の解明がいくつかの疾患の治療法開発にもたらす重要性である。
細胞は環境の変化に応じて、複数のシグナル経路を同時に統合し複雑な細胞応答を制御する。これら経路は機能に異常を来すとがんなどの疾患に結びつくことが多いため、治療の重要な標的になる。
I Dikicらは、シグナル応答因子が特異的な修飾によって変化する仕組みを検討している。一方J Kuriyanは、シグナル伝達の状況がこれら経路の活性化にどう影響するかを論じている。最後にJ Scottは、細胞内でいくつかの因子が足場で支えられて協調した応答を生じる仕組みについて考察している。
これら記事をまとめると、経路の完全な理解や、経路の混乱によって起こる疾患の治療法開発といった目的には、シグナル伝達ネットワークを総括的に考えるべきだという強力な論拠になる。
doi:10.1038/nsmb.1842
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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