Research Press Release
高地アジアでの水の増加
Nature Climate Change
2014年6月2日
気候変動による降水量と氷河融解の増加が予測されているが、そのため少なくとも2050年までに、高地アジアでの河川流出量が増加する可能性があることを示した論文が、今週オンライン版に掲載される。この結果は、この地域の利用可能水量に関する議論に、季節変化と極端な気象現象も加える必要があることを示している。
Arthur Lutzたちは高解像度モデルを用いて高地アジアの主な河川流域5か所(インダス川、ガンジス川、ブラマプトラ川、サルウィン川、メコン川)の水文学を定量化した。河川が異なれば流出量の構成も異なり、例えばインダス川上流域では氷河の融解水が大部分を占め、河川流量の40.6%を構成しているが、メコン川上流では氷河の融解水の寄与は最少である。Lutzたちは気候モデルから得られたデータを用い、気候変動が2050年までの利用可能水量にどのような影響を及ぼすかを調べた。
ガンジス川、ブラマプトラ川、サルウィン川、メコン川の流域では、氷河地域の減少による影響が融解速度の上昇によって相殺されるため、氷河の融解水の変化はないと予想された。これらの4か所の流域では、気候変動によって降水量が最大で9.5%増加すると予測された。5か所目のインダス川流域上流は融解水が大部分を占めるため、Lutzたちは、降水量はわずかに減少すると予測されているものの、融解は加速すると予想している。
doi:10.1038/nclimate2237
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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