【天文学】大質量星からの予想外の脈動
Nature Communications
2014年6月4日
大質量の非縮退星から放射される脈動X線が発見された。この種の星からの脈動が観測されたことは、これまでになく、今回の発見は、星風とそのX線放射と磁性に関する現在の知識に疑問を投げかけるものだ。研究の詳細を報告する論文が、今週掲載される。
大質量星からの強い放射は、高速の星風を発生させ、これが衝撃波を引き起こすことがある。そして、衝撃波で加熱されたプラズマからX線が生じると一般に考えられている。縮退星(例えば、中性子星や白色矮星)が発するX線に脈動が見られることが知られており、それよりも大きな非縮退星(質量が太陽の8倍以上)の一部には、他の特性に規則的な脈動のあることが明らかになっている。しかし、非縮退星からのX線放射に脈動が見られることについては、理論的に予測されたことも観測されたこともなかった。
今回、Lidia Oskinovaたちは、非退縮型の大質量B型星であるおおいぬ座ξ1星から脈動X線が放射されていることを発見した。Oskinovaたちは、XMMニュートンX線観測衛星による観測結果を用いて、おおいぬ座ξ1星からのX線放射に振動性があり、この星の基本振動と一致していることを見いだした。
現在のところ、おおいぬ座ξ1星からのX線の脈動に関する詳細で決定的な知識が得られていないが、今回の研究結果は、帯磁星からの星風の挙動に関する現在の物理学的理解に疑問を投げかけている。Oskinovaたちは、こうした脈動の原因が、太陽プラズマの加熱と冷却である可能性を指摘している。
doi:10.1038/ncomms5024
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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