Research Press Release
【医学研究】肥満女性の分娩結果に影響を及ぼすイオンチャネル
Nature Communications
2014年6月18日
肥満の女性は、分娩時に子宮の収縮を制御するイオンチャネルの調節がうまく働かなくなっていることが明らかになった。この新知見は、肥満の女性において、不規則な子宮収縮が多く、肥満でない女性と比べて帝王切開を必要とする可能性が高い理由を説明できる可能性がある。この結果を報告する論文が、今週掲載される。
経腟分娩がうまくいくためには、力強いリズムによる子宮収縮と赤ん坊の頭による子宮頸部の拡張が必要だ。しかし、子宮収縮を制御する分子基盤については、解明が進んでいない。
今回、Helena Parkingtonの研究チームは、ヒトの子宮でhERGカリウムイオンチャネルが発現しており、妊娠中はhERGが活性化して、子宮収縮を抑制し、分娩開始時には、hERGが阻害タンパク質によって不活性化され、分娩時の子宮の強い収縮が促進されることを明らかにした。この「ブレーキ」を解除する阻害タンパク質の放出は、hERGを介してなされている。さらに、Parkingtonたちは、肥満の女性において、この「ブレーキ」の解除が適切に機能していないことを明らかにした。これは、肥満の女性の分娩結果が悪くなる傾向に対する機構的説明となる。
doi:10.1038/ncomms5108
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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