Research Press Release
炎症の波紋
Nature Immunology
2014年6月23日
免疫細胞のマクロファージ中でASCスペックと呼ばれる分子集団が形成され、これが他のマクロファージに「食べられる」ことによって炎症が持続することを、2つの研究チームがそれぞれ独立に明らかにした。
ASCスペックの放出を妨げたり、他のマクロファージによるASCスペックの取り込みを防いだりすれば、有害な炎症を抑制し、肺炎や自発性のヒト自己炎症性疾患に見られるような炎症の体内への広がりを防ぐのに役立つかもしれない。
マクロファージは重要な免疫細胞で、壊死組織片の除去と炎症の誘発に関わっている。Eicke Latzの研究チーム、Pablo Pelegrinのチームは、ASCスペックの形成後すぐにマクロファージが死に、内容物が周辺の培地に放出されることを明らかにした。マクロファージの細胞死の過程で放出されたASCスペックは、細胞外で炎症を誘発し続けるだけでなく、刺激されていない他のマクロファージに取り込まれて、これらのマクロファージに炎症応答を開始させる働きもする。つまりこのASCスペックの放出の結果、本来は局所的だったはずの炎症が外へと波及し、はるかに広範な影響を及ぼすことになる。
doi:10.1038/ni.2913
doi:10.1038/ni.2919
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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