Research Press Release
【エネルギー】降雪を利用した乱流の大規模自然実験
Nature Communications
2014年6月25日
自然の吹雪を利用して、風力タービンと大気との相互作用過程の解明を進められることが明らかになった。この新知見で、将来的に風力タービンの設計と風力発電所での発電を改善できる可能性が生まれた。この成果を報告する論文が、今週掲載される。
風力タービンの周囲に発生する乱流のモデル研究では、通常、実験室内の風洞に小さな粒子を散布してシミュレーションが行われ、メートルスケールの装置が用いられる。ところが、乱流の性質は、スケールに応じて変化し、その上、風力タービンの高さもタービンの羽根の長さも都市部のオフィスビルに匹敵することが多い。
今回、Jiarong Hongたちは、実物大の風力タービン(高さ80メートル、羽根の長さ48メートル)に雪が降っている状況を用いた自然実験を行い、通常のモデル研究よりもかなり大きな、現実に近づけたスケールでの測定を行った。測定は、夜間に行われ、激しく降る雪にライトシート照明を当てて、回転する羽根が生み出す渦流の画像と映像が記録された。その後行われた画像解析では、この実用規模の風力タービンによって発生した乱流が正確に測定された。
風力タービンによって生じた乱流構造は、タービンの発電能力と発電機の骨組みに対する機械的歪みや機械的負荷に影響を及ぼす可能性がある。今回の研究は、風力発電所の新規立地を検討する際に考慮すべき新しい情報を提供し、タービンの効率と信頼度を高められる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms5216
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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