【神経科学】青色で暖かさを感じる
Scientific Reports
2014年7月3日
青色の物体を赤色のものよりも暖かく感じると示唆する論文が掲載される。これは、赤色が暖かさを感じさせ、青色が冷たさを感じさせるという従来の連想に反している。今回の発見は、対象物の特性を推測しようとする人間の脳が複数の感覚情報を統合する仕組みについて新たな洞察をもたらす可能性がある。
Hsin-Ni Hoたちは、12名の被験者に赤色または青色の物体の表面に触れたときに感じる温感を報告してもらった。暖かいと感じるためには、赤色の物体の温度は青色の物体に比べて平均して0.5℃高い必要があり、物理的に等しい温度では青色物体の方が赤色物体よりも暖かいと判断されやすいことを示している。Hoたちは、この結果は赤色物体は必然的に暖かめに感じるはずだという期待に起因しており、そのため青色物体は赤色物体に比べ暖かいと感じるための温度が低くなると示唆している。また研究では、物体に触れている手の色(青色または赤色を手に照射する)はその物体の暖かさをどのように感じるかに影響することがあるとも指摘している。実験の間、手の温度は一定に保ってあったが、赤色の手で触れると青色の手の場合よりも物体を暖かく感じ、これは手の感知温度と物体の感知温度との差異のためだとHoたちは説明している。
これらの結果は、人間の脳が、物体と手の温度についての事前の期待(色に付随した知覚に基づく)と実際の温感入力とを、期待に反する情報を強調して統合していることを示していると、Hoたちは結論を出している。
doi:10.1038/srep05527
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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