Research Press Release
【動物行動】果実を常食とする鳥は赤い実と黒い実がお好き
Scientific Reports
2014年7月17日
熱帯アジアの鳥類が果実を選ぶ時に赤い実と黒い実を好む傾向があるという研究結果を報告する論文が掲載される。鳥類が主に分散する果実の色として最も一般的なのが赤と黒であるため、今回の観察結果は、果実の色が、一定程度、鳥類を引き寄せる方向へ進化したことを示唆している。
今回、Rui-Chang Quanたちは、中国南部で果実を常食とする4種の鳥類を対象として、それぞれ5色の人工果実と自然に成熟した果実を使って、色の好みを評価した。人工果実は、リンゴ、西洋ナシ、バナナ、コムギ、トウモロコシ粉を混ぜて作られており、黒、赤、黄、緑、青の5色で染色され、それと同時に、同じ5色の自然に成熟した果実も使用された。その結果、野生で捕獲された鳥と飼育下の鳥のいずれも一貫して黒と赤に対する強い選択性を示し、(人工果実、天然の果実のいずれにおいても)緑のような珍しい色の果実を避けていた。中国南部では、果実の色として最も多いのが黒と赤だ。
Quanたちは、赤と黒の果実が、他の色の果実と比べて、実験で用いられた背景にくっきりと浮き上がって見える点を指摘し、今回の結果が、色だけでなくコントラストの影響も受けている可能性を認めている。それでも、黒と赤の果実が多いことの一因として果食性鳥類が黒と赤の果実を好むことを挙げる仮説は、今回の研究で得られた新知見によって裏付けられている。
doi:10.1038/srep05627
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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