Research Press Release
水中でポリマーを自己修復させる
Nature Materials
2014年7月28日
イガイの接着能力からヒントを得た方法で、損傷した合成ポリマーを水中で完全に自己修復できることが、今週オンライン版に報告される。この方法を用いれば、医用インプラントの耐久性を向上させることができるかもしれない。
さまざまな方法でポリマー材料の自己修復を促すことができるが、ほとんどの場合、特に湿潤環境においてポリマーを完全に修復することができない。過去に、イガイが分泌する接着タンパク質から着想を得て、カテコールという水溶性有機分子でポリマーを修飾すると、金属イオンを介する結合によってポリマーが自己修復することが示された。しかし、自己修復には特別な条件が必要だった。
今回、Herbert WaiteとJacob Israelachviliらは、金属を使用せず、カテコール基化したポリマー間の広範な水素結合を利用する方法を実証している。また、切断後に自己修復したポリマーの機械的特性が、切断前と同程度まで戻ることを明らかにしている。
doi:10.1038/nmat4037
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生物学:全ヒト細胞アトラスの作成Nature
-
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
健康科学:イカに着想を得た針を使わない薬物送達システムNature
-
化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法Nature
-
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications