Research Press Release
【腸内微生物叢】食餌以外に腸内微生物の構成に影響を及ぼすもの
Nature Communications
2014年7月30日
食餌と性、そして両者間の相互作用が、腸内微生物叢の構成に影響を及ぼすことを報告する論文が、今週掲載される。
腸内の微生物群集は、特に個体数が多く、多様性が高く、宿主の発達、栄養と免疫を促進する。食餌は、微生物叢の構成を変えることが知られており、このことは、微生物の組成の変化によって起こる疾患を食餌療法によって軽減できる可能性を示唆している。しかし、食餌の効果が一般的なものか、宿主の遺伝子型に依存しているのかは明らかでない。
今回、Daniel Bolnickたちは、野生の魚類(イトヨとヨーロピアンパーチ)、飼育下のイトヨ、実験用マウスとヒトのデータを用いて、性別と食餌が脊椎動物の腸内微生物叢の構成において果たす役割を調べた。それぞれの場合に、微生物叢の組成に対する食餌の影響は、雄と雌で異なっていた。こうした影響の根底にある機構は、まだ解明されていないが、Bolnickたちは、そうした機構が、ホルモンまたは免疫機能の性差と結び付いている可能性があるという考え方を示し、腸内微生物叢に関する今後の研究では、消化器系疾患を治療する目的で微生物叢を操作する治療法の開発研究の場合と同様に、性別を考慮に入れるべきだと指摘している。
doi:10.1038/ncomms5500
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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