Research Press Release

免疫抑制剤の副作用リスクに関連する遺伝子の同定

Nature Genetics

2014年8月11日

クローン病の患者が一般的な免疫抑制剤による治療を受けた後に白血球減少症を起こすことがあるが、その発症リスクとNUDT15遺伝子の関連性が見つかった。 この新知見は、こうした免疫抑制剤の副作用リスクの高い患者を見つけ出す上で役立つ可能性がある。チオプリン製剤による治療の副作用に、チオプリン誘発性白血球減少症がある。チオプリン製剤は、がん、炎症性腸疾患などの疾患の患者に一般的に用いられている。クローン病患者におけるチオプリン誘発性白血球減少症の発症率は、アジア系の人々(30%超)の方が、ヨーロッパ系の人々(約5%)よりもかなり高い。今回、K Songたちは、韓国人のクローン病患者978人の遺伝的データを解析した。 これらの患者の中には、チオプリン誘発性白血球減少症を罹患したことのある人が含まれている。その結果、酸化によって損傷した特定のDNAのヌクレオチドを分解する酵素をコードするNUDT15遺伝子のバリアントと白血球減少症との間に強い関連があることが判明した。白血球減少症の発症リスクと関連するNUDT15遺伝子バリアントの出現頻度は、アジア系集団の方が高く、最大13%となっている。

doi:10.1038/ng.3060

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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