Research Press Release

北極の氷と中緯度の冬季極端気象

Nature Geoscience

2014年8月18日

北極地域で温暖化が進んでいることと北半球中緯度で極端な冬季の気候が発生していることが関連する可能性のあるメカニズムが同定されたとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。しかしながら、北極の氷と雪の減少が中緯度の冬季の気候にどの程度大きな影響を及ぼすかは、ほとんど分からないままである。

Judah Cohenたちは、北極地域の温暖化の増幅と極端な冬季の事象、および同定された影響の道筋との関連性に関する文献を概観した。特に、彼らは北極と中緯度との間の温度勾配が弱くなると、ジェット気流や嵐の経路などの北半球大気の重要な特徴に変化をもたらすことを示唆している。弱い勾配はまた、エネルギーが大規模の大気波によって輸送される方法も変える可能性がある。これらの変化は、2013年および2014年冬季の米国を襲った継続する寒冷な気象条件のような、中緯度の極端な気象の発生に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、著者たちはこのような影響を定量化するためにはモデルと観測を改善する必要があると警告している。

doi:10.1038/ngeo2234

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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