【遺伝】オーストロネシア語族集団の祖先
Nature Communications
2014年8月20日
東南アジア島嶼部のオーストロネシア語族集団は、現在の東南アジア大陸部の住民よりも台湾原住民に近縁なことが明らかになった。今回の研究では、遺伝的データを用いることで、オーストロネシア語族を使用する民族の集団史が再構築され、この地域での集団の混合と過去の集団移動に関する手がかりをもたらしている。
オーストロネシア語族集団の拡大が始まったのは、約4000~5000年前と推定されており、台湾に端を発したと考えられている。しかし、現在のオーストロネシア語族集団の祖先については、解明がほとんど進んでいない。
今回、David Reichたちは、東南アジア島嶼部の56集団に属する人々について、ゲノム全体での遺伝的マーカーの解析を行い、遺伝的混合、つまり、遺伝的に異なる集団間で起こった遺伝子の交換について調べた。
その結果、オーストロネシア語族を使用する人々の遺伝的要素には、台湾原住民、タイ、ニューギニアの集団など、4つの異なる起源が考えられることが明らかになった。また、この遺伝的要素のかなりの部分は、台湾に起源をたどることができるが、西オーストロネシア語族を使用する人々には、オーストロアジア語族を用いる人々の遺伝的要素が顕著に見られた。以上の結果から、オーストロネシア語族を使用する人々が、ベトナムかマレー半島を通って移住し、東南アジア大陸部のオーストロアジア語族集団と混合してから、インドネシア西部に定着した可能性が示唆されている。
doi:10.1038/ncomms5689
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生物学:全ヒト細胞アトラスの作成Nature
-
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
健康科学:イカに着想を得た針を使わない薬物送達システムNature
-
化学:光を使って永遠の化学物質を分解する新しい方法Nature
-
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications