Research Press Release
眼圧の24時間モニタリングを可能にする眼科用インプラント
Nature Medicine
2014年8月25日
眼内の液体圧、つまり眼圧を24時間続けて監視できる埋め込み型のマイクロチップが開発された。ブタで、光学アダプターをつけた携帯電話用カメラを圧の読み取りに使って行われた試験で、眼圧の変動が読み出し可能であることが実証された。
眼圧(IOP)には大きな日内変動が見られ、夜に仰向けで眠っている際に最大となることが多い。眼圧のこうした変動は、緑内障の進行のリスク因子であることが知られている。緑内障には世界ではほぼ6,500万人が罹患していて、失明の主な原因の1つとなっている。現在の標準的な眼圧測定法はゴールドマン圧平眼圧計を使う方法だが、この方法は眼科の専門医でなければ行えず、局所麻酔が必要となる。そのため、緑内障の診断、薬剤治療中あるいは手術後の管理や追跡調査のために眼圧の変動を正確に調べるには、このような測定法では不十分なことが多い。
Y Mandel、S Quakeたちは、眼内に独立型装置として埋め込んだり、白内障手術の際に挿入される眼内レンズに組み込んだりできるマイクロ流体圧センサーを開発した。さらに、光学アダプターをつけたスマートフォンを画像取り込み装置として使えば、測定結果をすぐに解析できる。外科手術によって摘出したブタの目を使った試験では、この装置はうまく働くことが分かった。しかし、これを眼圧の自己測定用装置として緑内障の管理に適用できるかどうかを確かめるには、臨床試験が必要である。
doi:10.1038/nm.3621
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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