Research Press Release
局所気候によって形作られたブラックコットンウッドの遺伝子
Nature Genetics
2014年8月25日
ブラックコットンウッド(Populus trichocarpa)はヤナギ科に属するポプラの一種であり、ヤナギ科の植物として最も大きい。アラスカからメキシコ北部の地域にまで自生し、それぞれの個体群が局所の環境に適応してきた。材木および燃料用に広く用いられているだけでなく、局所生態系にとっても貴重な存在である。今回の研究で、局所気候に適応して進化した遺伝子が見つかった。この知見は、全地球的な気候変動に直面している現存植物種の自然個体群の保全活動に役立つと考えられる。
S DiFazio、G Tuskanたちの研究チームは、ブラックコットンウッドの長期にわたる進化が環境によりどのように形作られてきたのかを解明するために、カナダのブリティッシュコロンビア州と米国のワシントン、オレゴン、カリフォルニア各州で採取された544本のブラックコットンウッドのゲノムを調べた。その結果、個体群間で差異があり、その局所環境に応じて比較的最近に変化した可能性の高い397のゲノム領域を同定した。これらのゲノム領域には、気候によって制御される形質(例えば、樹木の高さ、温度に対する耐性、1年のうち極めて重要な生育期など)にとって重要な遺伝子が含まれる傾向が見られた。
doi:10.1038/ng.3075
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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