Research Press Release
【ナノテクノロジー】さまざまな生物医学的用途に対応する1つのナノ粒子の設計
Nature Communications
2014年8月27日
8種類の生物医学的用途に柔軟に対応するナノ粒子の設計について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究は、マウスを用いて行われたが、個別化ナノ医療と個々の患者に合わせた診断と治療の開発を前進させる可能性を秘めている。
ナノ粒子は、疾患の診断や治療のための媒体として有望視されており、臨床応用が徐々に進んでいる。しかし、ナノ粒子は、通常、それぞれの応用例に適応させて、最適化する必要があるため、単一のナノ粒子構造体の有用性はさほど大きくない。
今回、Kit Lamたちは、単一の化学的構成要素を用いて作られたナノポルフィリンという単純なナノ粒子について報告している。このナノ粒子は極めて柔軟に設計でき、8種類の生物医学的用途の1つを実現できる。(ただし、その全てを同時に実現することはできない。)例えば、近赤外蛍光画像化法、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)と二重モードPET-MRIなどの画像化法である。さらに、ナノポルフィリンは、光熱療法と光線力学療法(光でナノ粒子を加熱し、または活性酸素を発生させて、目的の悪性細胞を破壊する治療法)にも用いることができ、標的への薬剤送達もできる。
Lamたちによれば、単一の設計にこれほど広範な臨床関連機能が集約された有機ナノ粒子系は今回の研究報告が初めてとされる。この有機ナノ粒子系がヒトにも使えるかどうかを見極めるには、さらなる研究が必要だ。
doi:10.1038/ncomms5712
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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