Research Press Release
1つの薬剤を複数の疾患に
Nature Chemical Biology
2010年5月10日
誤って折りたたまれたタンパク質を分解する装置を標的とすることによってゴーシェ病(GD)が緩和されることが、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。
多くの細胞の細胞膜に存在する脂質「グルコセレブロシド」は、グルコセレブロシダーゼ(GC)という酵素によって分解される。GDでは、この酵素が変異して折りたたみが異常となり、細胞の品質管理装置によって分解される。そのために、腎臓や肺、脳など、さまざまな臓器でグルコセレブロシドが蓄積する。
J Kellyたちは、化学的調節物質で細胞のカルシウム濃度を上昇させると、タンパク質折りたたみ品質管理装置の重要な部品である「カルネキシン」の機能が高められることを発見した。これによってGCは正しく折りたたまれ、分解を免れる。
折りたたまれていない変異タンパク質を品質管理装置が認識して生ずる疾患は多いため、この装置を標的とする1つの薬剤で複数の疾患が治療される可能性がある。
doi:10.1038/nchembio.368
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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