Research Press Release
カーボンダイエット
Nature Climate Change
2014年9月1日
農業による温室効果ガス排出量を増加させずに、世界の食料の安定供給を2050年まで維持するには、食事の改善と食品廃棄物の削減が必要であるという結論を示した論文が、今週のオンライン版に掲載される。
人口の増加に伴い、食料需要は今後数十年間で急激に増加すると予測されているが、供給量の増加は、既存の農地のさらなる集約的利用と未耕作地の拡大によって成し遂げられる可能性が高い。農地拡大が最も重要だが、これらの変化はどちらも大幅な生物多様性の減少と汚染、温室効果ガス排出量の増加をもたらす可能性がある。
今回、Bojana Bajzeljたちは、食料需要の増加が環境に与える影響を調査し、それらを緩和するために、より集約的だが持続可能な農業方法(作物収量を増加させ、肥料や農薬、灌漑(かんがい)の利用を改善する管理方法など)と、食料需要の削減方法(食肉消費量の削減など)の可能性をモデル化した。その結果、達成された収穫量と潜在的に可能な収穫量の差を補うだけでは、需要の増加に十分対応できないことが明らかになった。
しかし、Bajzeljたちは、食肉消費量の減少や食品廃棄物量の削減などの需要側の対策により、温室効果ガス削減を実現する一方で、増加する世界人口に食料を供給できる可能性があると考えている。
doi:10.1038/nclimate2353
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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