【化石】飛行しつつ餌をあさっていた新種の翼竜
Scientific Reports
2014年9月11日
中国北東部の白亜紀前期(約1億2000万年前)の堆積物から発見された新種の翼竜(空を飛ぶ爬虫類)について記述された論文が掲載される。2点の化石の解析が行われ、2頭の翼竜が、細長い頭蓋骨と喉袋と考えられるものを持っており、水面上を低空飛行して、水面近くの獲物をすくい取るように採餌することがあったとされる。
翼竜は、動力飛行を進化させたことが知られる最古の脊椎動物(背骨を有する動物)だ。今回、Xiaolin Wang、Alexander Kellnerたちは、Ikrandraco avatarという名の新種を発表したが、その化石が発見されたのは、翼竜の化石が特に多く見つかっている中国北東部のアプト期九仏堂累層である。2点の部分骨格では、非常に低く、細長い頭蓋骨を持っていたこと、下顎骨にフックに似た独特な形状があり、歯稜がよく発達していたことなどの特徴が確認された。このフック形の部分が喉袋のような軟組織をつなぎ止める役割を果たしていたとWangとKellnerたちは考えており、こうした特徴から、水体の表面が独自の採餌地であったという考え方を提唱している。しかし、WangとKellnerたちは、この新種の翼竜がすくい取るように採餌する行動を頻繁に行っていなかった可能性が非常に高い点も指摘している。その理由としては、こうした採餌行動のための適応が広範に見られないことが挙がっている。
Ikrandraco avatarという名の由来だが、“Ikran”は、映画“Avatar (邦題「アバター」)”に登場する、翼竜のようによく発達した歯稜があり、翼竜を思わせる架空の飛行生物の名前で、“draco”はラテン語で竜を意味する。
doi:10.1038/srep06329
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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