Research Press Release

気持ちを若く、実際に若く

Nature Neuroscience

2014年9月15日

アルツハイマー病の症状を示す高齢者で増加している脳活動は、この疾患に伴う病的変化を補う助けとなるとの研究が、今週号に報告されている。

アルツハイマー病では脳にβアミロイド(Aβ)というタンパク質が沈着し、これが脳細胞を障害する原因となる。

William Jagustたちは、機能的磁気共鳴画像化法を用い、健康で若い成人と高齢者、および脳にAβ沈着が報告されている高齢者について、情景画像を記憶しようとする際の脳活動を調べた。両群の高齢者ともこの課題を同程度にうまくこなしたが、若い成人とAβ沈着を持つ高齢者では、脳の視覚野と記憶野の活動が、情景の詳細に関する記憶の増強と直接関連していた。これに対して、Aβ蓄積のない高齢者では、視覚や記憶に概して関わらない脳領域での低い活動が、情景の詳細をどの程度うまく記憶するかを強く予測するものであった。

これらの結果は、Aβ蓄積のある者での活動の増加は、通常の機能を維持しようと、脳がAβに起因する障害に適応した結果である可能性が考えられると示唆している。

doi:10.1038/nn.3806

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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