【微生物学】呼気検査による結核診断
Nature Communications
2014年9月24日
結核菌を検出するための迅速な呼気検査法が開発されたことを報告する論文が掲載される。これは、イソニアジドに対して感受性を有する結核菌に特異的な検査法である。イソニアジドは、結核患者に投与される抗生剤として最も一般的なもので、この薬剤に抵抗性を示す結核菌は珍しい。
現在用いられている結核の診断法は、血液検査や検体の顕微鏡観察によるものだが、信頼性がさほど高くなく、微生物学的な確認も必要で、この確認に数週間を要する。結核の治療に用いられる主要な抗生剤であるイソニアジドは、投与される際には不活化している。結核菌が持つ酵素(KatG)のみが、イソニアジドに作用して、活性な抗生物質と窒素ガスが生成される。
今回、Graham Timminsたちは、イソニアジドに対して感受性を有する結核菌を検出する呼気検査を開発し、実験動物を用いて評価したことを報告している。この検証実験は、実験動物(結核に感染させた動物と結核に感染していない動物)に化学標識されたイソニアジドを投与し、この動物が吐き出す息の質量分析を行って、標識された窒素ガスを検出するというものだ。陽性反応は、イソニアジド感受性結核菌が存在していることを示し、陰性反応は、結核に感染していないか、イソニアジド抵抗性結核菌が存在していることを示している。
携帯型の質量分析器は、現在開発中であるため、呼気検査が、今後、ポイント・オブ・ケア検査の手段となる可能性がある。この新しい呼気検査の安全性と有効性を評価するためには臨床研究が必要だが、この検査法は、医師が最適な抗生剤を迅速に決定、処方できるようになる上で役立つと考えられている。
doi:10.1038/ncomms5989
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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