Research Press Release
トマトゲノムに残された人為的選抜の痕跡
Nature Genetics
2014年10月13日
農業用トマトの選抜育種に関係する遺伝的領域が同定された。この研究結果は、今後、作物としてのトマトのさらなる改良につながり得る。
生食用トマトは、何世代にもわたる育種によって、粒が大きくなり、味も良くなったが、遺伝的多様性は減少した。そのため、農家が標準的な育種法で作物としてのトマトの改良を図ることのできる余地は限られてしまっている。一方、過去の選抜育種と品種選抜を介した人為的なトマトゲノムの改変過程と改変部位を解明していけば、特殊な品種を交配させたり、DNA編集技術を利用したりして、トマトの改良が可能な遺伝的領域明らかにすることができる。
今回、S Huangたちは、全世界から集めたさまざまなトマト作物(栽培種と野生種の両方を含む)の360のゲノムを配列解読した。その結果、野生のトマトと業務・加工用トマトの中間に位置付けられるトマトの一群が同定された。この中間グループのトマトは栽培化されているが、サイズと重量のさらなる改良はなされていない。今回の研究では、トマトゲノムの約8%が栽培化に関係しており、約7%はその後の品種改良で選抜されたことが判明した。また、これらのゲノム領域の約5分の1が重複していた。これらのゲノム領域には、花芽の植物ホルモンに対応する栽培化遺伝子候補や、トマトの大きさのさまざまな側面を制御する複数の「改良」遺伝子などが含まれている。
doi:10.1038/ng.3117
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