MMRワクチンによる痙攣に関与する2つの遺伝子バリアント
Nature Genetics
2014年10月27日
麻疹、流行性耳下腺炎、風疹に対する混合ワクチンであるMMRワクチンを接種すると、一部の小児に痙攣発作が起こることがまれにある。こうした痙攣発作との関連を示す遺伝子バリアントが見つかった。この研究成果は、MMRワクチンを接種したヨーロッパ系小児2~5%に起こる痙攣の引き金の実体を解明する上で、重要な第一歩となると期待される。
発熱は、MMRワクチンのような、生きているウイルスを弱毒化して作るワクチン接種で起こる一般的な反応である。まれに、このようなワクチンが発熱による痙攣、いわゆる熱性痙攣を引き起こすことがある。熱性痙攣は通常1~2分の発作で、長く継続する神経学的リスクをもたらすことはないと現在考えられている。MMRワクチンの場合には、接種後第2週に、低年齢の小児のごく一部に痙攣が出現することがある。ワクチン接種によって誘発される熱が痙攣を引き起こす理由は知られていない。
B Feenstraらは、MMRワクチン接種によって熱性痙攣を発症したことのある小児およそ1300人、接種とは無関係に熱性痙攣を発症した小児およそ2000人、痙攣の病歴のない小児およそ5800人における遺伝子バリアントを比較した。その結果、MMRが誘発する熱性痙攣に特異的な関連を示すバリアントを2つの遺伝子に特定した。この痙攣への関連が明らかになった遺伝子IFI44LとCD46は共に、微生物感染に対する初期の免疫応答を担う自然免疫応答に関与している。これまでに、麻疹ウイルスの感染が起こるとIFI44Lの発現が上昇すること、またMMRワクチンに対する免疫応答にCD46が関与していることが判明している。
doi:10.1038/ng.3129
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