【化石】顎の大きな古代の巨大爬虫類動物
Scientific Reports
2014年11月27日
三畳紀中期(約2億4700万年~2億3700万年前)に現在の中国南西部近くの海洋で獲物をとっていた巨大な海生爬虫類の化石が発見された。この発見は、当時の海洋生態系が全球規模で十分に豊かで、こうした最上位捕食者が生存できたことを示している。今回発見されたのはNothosaurus zhangiの化石で、その下顎は、これまでに分かっている三畳紀の水生爬虫類である鰭竜類のものとしては最も大きい。この研究成果についての報告が、今週掲載される。
約2億5200万年前に起こった大量絶滅事件では、地球上の生物のほとんどすべてが消え去ったが、その後の三畳紀中期の前期には大型の最上位捕食者が出現していたことの証拠が得られており、海洋生物の多様性が再構築されたことが示されている。ただし、こうした証拠は、古代の海洋のわずかな領域に限られており、古代の中国南部周辺の領域では得られていなかった。従って、海洋生態系の回復が全球規模で同時に起こったのかどうかは、よく分かっていなかった。
今回、Jun Liuたちが中国南西部の三畳紀中期の前期の地層から新たに発掘したノトサウルス類動物の化石は、こうした知識の空白を埋めるものと考えられ、海洋における安定した複雑な食物網が、当時までに全球規模で確立されていたことを示している。Nothosaurus zhangiには、非常に大きな顎(長さ65センチ)と牙のような歯があり、体長は5~7メートルと推定されている。また、頭蓋骨の大きさと大きく鋭い歯は、この化石動物が、食物網の頂点にあったことを示唆しており、Liuたちは、この動物が、大型魚類やその他の海生爬虫類などの獲物を襲っていたという見解を示している。
doi:10.1038/srep07142
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