【生物工学】多機能スマート人工皮膚
Nature Communications
2014年12月10日
シリコンナノリボンで作った「スマート」人工皮膚についてのDae-Hyeong Kimたちの報告が、今週掲載される。このスマート人工皮膚は、歪み、圧力、温度のセンサーアレイだけでなく、それに付随した湿度センサーとヒーター、皮膚を刺激するための伸縮性多電極アレイによって構成されている。
ヒトの皮膚の感覚受容器は、体外環境からのシグナルを脳に伝達する。刺激感知の解明には、数々の進展があったが、この独特な性質を人工皮膚や補綴具で再現することは依然として困難だ。最近では、硬質または半屈曲性の圧力、歪み、温度のセンサーを用いたスマート補綴具が開発され、数多くのセンサーを搭載したバイオニックシステムへの有望な道筋が開けた。それでも、ウエアラブル補綴具に使用される従来型電子機器は生体の軟組織といまひとつなじんでおらず、切断手術を受けた患者向けの補綴具の有用性と性能の向上は進んでいない。
Kimたちの論文で説明されているのは、多数のセンサーアレイを備えた伸縮性の人工皮膚で、これらのセンサーアレイは、その対象となる皮膚の部分の動きに従って伸びるようになっている。Kimたちは、体外環境の変化に対する人工皮膚の感知能力が、この設計によって大きく向上すると述べている。また、伸縮性湿度センサーと加熱素子を組み込むことで、皮膚水分の感知と体温の調節がそれぞれ可能となった。そして、対応する電気刺激が、人工皮膚から超薄型の多電極アレイを介して体内へ伝達され、末梢神経が刺激される。この多電極アレイは、炎症を抑えるため、セリアナノ粒子で装飾されている。この設計は、新しい種類の補綴具と末梢神経系インターフェースの技術にとって、またとない機会となる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms6747
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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