タイタンの砂を移動する
Nature Geoscience
2014年12月9日
土星の最大の月であるタイタン上の砂丘形成にはこれまで予想されていたよりも速い風速が必要で、砂丘はこれまで考えられていたよりも長い時間スケールにわたって進化している。今週号に掲載される2本の報告は、砂丘形成の過程についての新しい考えをもたらし、他の惑星や月における砂丘形成を理解するための手掛かりとなる可能性がある。
タイタンにおける風成砂丘の形成は地球、火星および金星で見られるものと似ていると考えられている。タイタンにおいて砂丘を形成する条件を決定するためのモデル研究が行われているが、これらのモデルが正確かどうかはよく分かっていない。Devon BurrたちがNatureで報告したタイタンの地表条件をシミュレーションするように計画した風洞実験は、砂丘を形成するための砂の移動に必要な風速の閾値は、これまでのモデルで予想されていた値よりも約40%速いことを示している。これらの結果は、砂丘の動きを支配しているのはタイタンで一般的と考えられている東向きの風ではなく、まれに吹く強い西向きの風であるという考えを支持している。
Nature Geoscienceに掲載されるRyan Ewingたちによる2つ目の報告では、NASAのカッシーニ惑星探査機によって撮影されたタイタンの砂丘画像を解析している。その結果は、土星の軌道変化に関連した長期気候サイクルがタイタンの砂丘分布のパターンを支配していることを示唆している。著者たちは、観測された砂丘の峰の再配置には約3000土星年(約8万8000地球年)以上かかったと見積もっている。この時間スケールは、これらのパターンをもたらすとこれまで考えられてきた日周、季節、潮汐による風のサイクルよりも長く、タイタンの砂丘が地球の大規模砂丘地帯のように、長期の気候サイクルによって形成されたことを示唆している。
doi:10.1038/ngeo2323
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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