【行動】低年齢の小児における自制心の発達
Scientific Reports
2014年12月11日
幼稚園と小学校に通う子どもにおける良好なセルフコントロール(自制心)の発達において、年齢と性別が重要な役割を果たすという結論を示す論文が、今週掲載される。今回の研究では、中国全土の学校に通う3~9歳の子ども(合計2135人)から集められたデータをもとに、良好なセルフコントロール行動が年齢とともに向上し、セルフコントロールの評価試験で、女児の成績が男児より優れていることがわかった。
子どもが衝動的な振る舞いを抑え、計画を立てて行動できることは、成人期の成功にとって極めて重要なことなのかもしれない。そのようなセルフコントロールを小児期に身に付けているかどうかという点から、成人してからの健康状態、良好な家族関係、仕事上の成功を予測できるとする学説が提唱されているのだ。これまでのセルフコントロールの発達に関する研究の大部分は、未就学児と思春期の少年少女に着目したものだった。これに対して、幼稚園や小学校に通う子ども、つまり、自分の行動を制御することが求められる移行期にある子どもについての研究は行われていなかった。そのため、Ting Tao、Wenbin Gaoたちのグループは、幼稚園児と小学校の生徒を対象としたセルフコントロールの研究を行った。
今回の研究では、この時期、特に5~6歳の時に良好なセルフコントロールが発達する一方で、セルフコントロール不良となる割合は横ばい状態だったことが明らかになった。今回の研究結果は、抑制的なふるまいと衝動的なふるまいの二重構造としてセルフコントロールをモデル化した学説を裏付けている。また、Taoたちは、良好なセルフコントロールが男児より女児に多く見られることを指摘し、セルフコントロールの男女差が、セルフコントロール不良ではなく、良好なセルフコントロールと関連しているという考え方を示している。
doi:10.1038/srep07272
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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